国際税務の最新情報
2010-05-07
平成22年3月に、香港との間で租税協定締結の基本合意に至りました。この基本合意は、平成23年4月1日以降開始年度の所得に対して適用されることが予想されています。
租税協定の内容ですが、ポイントは次の4点です。
1.進出した企業の事業活動による所得の源泉地国での課税範囲を明確にする
2.投資所得の課税の減免
・配当 10%以上保有の場合は、5%、その他の場合は10%
・利子 10%、 支払い者が政府等機関の場合は免税
・使用料 5%
3.課税当局間の租税に関する情報交換の実施を可能にする
4.協定の乱用防止規定を設ける
日本の企業の立場からみた影響について考えていますと、
IRSからの決定書の私のコピーを見つけるためにどのように
1.投資所得の課税の減免規定によって、香港から日本企業に配当、利子等を支払う際に、源泉徴収されることになるかといえば、なりません。それは、香港の国内税法で、そもそも、使用料以外の配当、利子について、源泉徴収課税がないからです。ちょっと専門的になりますが、国内法に定める優遇措置が租税条約よりも有利であるときは国内法に従うという考え方をプリザベーション・クローズと言います。 香港で発生する配当、利子について、協定の規定(源泉税を課する)よりも、香港国内法(源泉税を課さない)の取り扱いん法が、日本の企業にとって、有利な取り扱いとなるので、プリザベーション・クローズの考え方により、香港国内法により源泉税が課されないことになります。
2.投資所得のうち、使用料についても、プリザベーション・クローズの考え方で、使用料に対して、国内法の規定により、実質4.95%のままです。
以上、投資所得に関して、租税協定の影響は、日本の企業にとってなさそうです。
3.情報交換の実施について
結果の管理は何ですか
この合意の結果、日本の課税当局は、香港の金融機関にある情報にアクセス可能になります。
昔、五菱会(闇金融の事業会社)事件というものがありました。日本で闇金融で儲けたお金(たまり)を香港、シンガポールの銀行に送金したところ、日本の警察当局は、香港、シンガポールの銀行当局から、かかるたまりに関する情報提供が得られないで捜査の壁に阻まれた事件です。
このような苦い経験に基づき、このたび、香港との間で、情報交換の実施の同意を取り付けました、(シンガポールとの租税条約にも同種の規定を設けた新しい租税条約に2010年2月に改正されました)
4.協定の乱用防止協定
同社は、一般的にどのように多くの銘柄を使用していますか?
協定の乱用で、トリーティー・ショッピング(条約漁り)という言葉が有名です。これは、香港、または日本以外の居住者が、締約国の一方に自己が支配する子会社等を設立し、これを通じて他方の締約国に投融資を行い租税条約の恩典を享受する行為をいいます。 例えば、アメリカの投資銀行が、オランダに子会社を設立して、この子会社を通じて、日本の不良債権、担保不動産の取引から生じる利益を日本の税金コストを抑えて利益をもちかえった事件が新聞をにぎわしましたが、この事件は、日本とオランダの租税条約のトリーティー・ショッピングしたケースです。
日本の企業の立場から言うと、香港と日本以外の国との間で結ばれた租税条約の恩典を利用することがトリーティ・ショッピングになります。香港は、ベルギー、ルクセンブルグ、中国、タイ、ベトナムと租税条約を締結しています。
しかし、香港が協定の乱用にタイトな運用を行うことはちょっと考えにくいというのが私見です。従って、香港が日本の税制上、タックスヘイブン税制の対象になることを除外して考えると、香港が締結している租税条約の利用も積極的に考えていくこともありかなと考えます。
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